前頁「敷地を調査する(土地情報より(1))」では、土地計画法、用途地域、建ぺい率や容積率など、法律や規制によって決められている事柄についてご紹介しました。
今回は方角や接道状況など土地の基本的な条件や付帯条件について、前回同様に土地情報を参考にご紹介します。

土地の様々な条件

  今回も前回と同じ物件情報を示し、赤字の項目について詳細に説明します。
下の広告は、ある敷地の土地情報です(実際の土地はありません)。
土地情報には様々な情報が書かれています。このページでは広告の赤丸数字の項目について説明します。

20210131-土地情報の各項目(2)

⑯ 方角

20210131-方角のイラスト

  敷地に建物をどのように配置するかは様々な要素が関係しますが、特に「敷地がどの方角に道路が接地しているか」が影響します。
接地している道路の方角により、建物、駐車場、玄関、主庭の配置は異なってきます。
詳しくは「方角と建物の配置の基本」を参照ください。

⑰ 接道状況

20210131-接道状況のイラスト

 建物を建てられる敷地は道路に接している必要があります。
その道路の幅や向かい側の状況により敷地に建てる建物の位置や大きさに影響があります。
詳しくは「道路と建物のあいだにある「きまり」」を参照ください。

⑱ 土地形状

20210131-土地形状のイラスト

 不向きと言われている敷地でも敷地の特性や建物のデザイン次第では住みよいマイホームになります。
旗竿敷地を検討されている方はメリット・デメリットを十分に考える必要があります。
詳しくは「悪条件を生かす」、「旗竿状の土地について」を参照ください。

方角と建物の配置の基本

 敷地に建物をどのように配置するかについては、以下のような敷地の条件によって決まってきます。

[敷地の条件]
  • ①形状(四角、不定形)
  • ②方位(南向き、北向き、東南向きなど)
  • ③周辺環境(隣宅の建物の配置など)
  • ④接道状況
  • ⑤高低差、傾斜

 これらによって決まりますが、特に重要なのは敷地がどの方角に道路が接地しているかにより、家の配置は決まってきます。
一般的に家は敷地の北側に寄せて南側に庭を配置します。また、家を東西に長くすることで多くの部屋への採光を高めるようにします。

南側道路に面した土地

20210131南側道路に面した土地のイラスト

 南側に道路がある場合、建物は北側に寄せて駐車場、玄関、主庭を南側へ配置します。
駐車場の配置によっては玄関までのアプローチを長くする必要があり、主庭が広く取れなくなります。
道路から家を除かれないように植栽や門塀などによる工夫が必要です。

北側道路に面した土地

20210202北側道路に面した土地のイラスト

 北側に道路がある場合、建物は出来るだけ北側へ寄せたいですが駐車場と玄関も北側へ配置する必要があり、アプローチの工夫が必要です。
南側に主庭を配置します。道路から除かれる配慮は不要ですが、隣宅の窓の高さを考慮して目隠しとなる植栽を配置します。

東(西)側道路に面した土地

20210202北側道路に面した土地のイラスト

 東(西)側に道路がある場合、建物は北側へ寄せて南の道路側へ駐車場を配置します。玄関とアプローチも道路側へ配置するので建物を東西へ広く配置することは制限されます。
南側に主庭を配置します。隣宅の窓の高さを考慮して目隠しとなる植栽を配置します。道路から除かれる配慮は南側道路よりは少ないですが植栽などで多少の配慮が必要になります。

建物を考えてみる

 希望の土地の上に家を建ててもらい『家づくりの創造』を膨らませましょう。
土地と建物の両方を検討している場合は家を建てるパートナーに土地の条件を提示して、どのような家を『予算内で』建てられるのかプレゼンをしてもらいます。
とのような建物が出来るのか、設計も大事ですが予算も重要です。見積りの精度が悪いと思わぬ追加予算がかかり、返済額の負担が大きくなってしまいます。
その意味でも合見積りを取り、詳細を見合わせて比較することも大事なことです。

20210202設計者にアイディアを出してもらうのイラスト

悪条件を生かす

 一般的に不向きと言える条件でも、建物のデザインでカバーすることも出来ます。

北面道路を例にすると・・・

建物内への採光、植栽の生長に影響。

建物を吹抜けにして天窓を大きくとる。

屋内に多くの採光を取り入れられる。
植栽は日照の影響が小さい樹木を選択する。
南面道路の土地は通行者の視線が気になる。

北面道路の土地にとって、南側のガーデンスペースは「プライベートガーデン」になる。

建物のデザイン、外構の工夫をすることでデメリットは解消できる。

 最初から条件の悪い土地を探すことはありませんが、地域や土地のいくつかの条件を満たし、「住みたい土地」「ご縁のある土地」を見つけられたら施工業者にプレゼンをしてもらい、デメリットになる問題点を解消出来ないか模索することも一つの方法です。

そういった試行錯誤をいくつかの土地で繰り返していくことにより

  • 自分たちが必要な土地の条件
  • 自分たちが望む建物の条件
  • デメリットになる条件の解消方法
  • どのようなことがデメリットになりえるのか

 などが分かってくるでしょう。

20210202自分たちが望む条件のイラスト

道路と建物のあいだにある『きまり』

接道義務

 建築基準法では、建築物の敷地として以下のようなきまりがあります。

接道義務
少なくとも2m以上、幅員(道路の幅のこと)4m以上の道路に接していること

20210202建物を建てられる敷地(1)のイラスト

 上記は幅員4m以上の道路に接しているので建物を建てられる敷地です。

20210202建物を建てられない敷地のイラスト

 上記は接している道路が幅員4m以下なので「建物を建てられる敷地」に該当しません。

20210202建物を建てられる敷地(2)のイラスト

 上記は幅員4m以上の道路に2m以上接しているので、建物を建てられる敷地です。

2項道路

 しかし実際の道路は幅員4m未満も多く、このままでは建物を建てられない敷地が多く存在してしまいます。
このため建築基準法では、接道義務が施行された時点で既に建物が建ち並んでいた幅員4m未満の道路でも特定行政庁が指定したものについては、建築基準法上の道路として扱うことにしています。
これを2項道路(みなし道路)といいます。

2項道路に面する敷地では、道路の中心線から2m後退した線を道路と敷地の境界線として取り扱います。
つまり、自分の敷地であっても道路の中心線から2m以内の部分は敷地面積に入れずに建ぺい率や容積率の計算を行います(これを「セットバック」といいます)。

20210203セットバックして建物を建てられる敷地のイラスト

 上記の敷地はセットバック部分を道路と敷地の境界線とすることで、建物を建てられる敷地となります。

道路の反対側に道路が形成出来ない場合は(崖や線路、河川など)、反対側へ道路を拡げることが出来ませんので道路の反対側から4mの位置が道路と敷地の境界線となります。

20210203セットバックして建物を建てられる敷地(2)のイラスト

 上記の敷地は道路の反対側から道路幅を確保することで、建物を建てられる敷地となります。

接道条件により、敷地において建物を建てられる箇所が制限されたり、建物の大きさの制限が変わることがあります。
(なにより、自分の敷地であっても「道路」としなければならないことも。)
土地選びの際には接道条件は確実に確認しておきましょう。

旗竿状の土地について

 道路から狭い路地のみでつながった敷地は「旗竿敷地」「路地状敷地」と呼ばれています。このような敷地についても、路地部分が2m以上の幅で幅員4m以上の道路と接していることが求められます。
旗竿敷地は道路から奥まった位置に敷地があることから、静かな環境を作り出すことが出来ます。
一方で、四方を住宅に隣接することや駐車スペースが適切に取れない等のデメリットもあり、このような敷地を選ぶ際は、十分に検討する必要があります。
また、路地の長さについては建築基準法上の規定はありませんが、自治体の条例などで規制している場合があります。
東京都では路地の長さは20mまでとし、それを超える場合は道路に3m以上接していなければならないとしています。
旗竿敷地については、建物の用途や延床面積などについても規制を受けることがあり、事前の十分な調査が必要です。

20210203旗竿状の敷地に建物を建てるのイラスト

角地の土地の「隅切り」

 2本の道路が交差する角地はクルマが曲がりやすいように、角部分を道路に提供する「隅切り」の義務があります。
「隅切り」が必要なのは、幅6m未満の2本の道路が角度120度未満で交差する場合、底辺(斜めの部分)2mの二等辺三角形の敷地を道路として提供することが求められます。
(隅切りをした場合は、容積率を10%上乗せ出来ます)。

20210203角地の隅切りされた敷地に建物を建てるのイラスト

土地情報から得ることが出来る18個の情報は何か?(2)のまとめ
  1. 希望の条件を全て満たす土地は見つからないし、高額の場合が多い。方角、面積、地価・・・何を優先するか考えておく
  2. 検討中の土地にどのような建物が建てられるか、設計、予算を満たすのか、合い見積もりをとって比較検討しておく
  3. 不向きの条件の土地も、建物のデザイン、外構の工夫で解消出来ることもある。検討を繰り返すことで、「自分たちが望む条件」が明確になってくる
  4. 建築基準法を遵守して建物を建てるので、ひと通りの規則は把握しておく
  5. 地域のルールもあるので、十分に調査をすること